パンにジャムを塗って満足できるデンジに惹かれていた

チェンソーマンと自分の話。

デンジの欲望がジャムを塗ったパンのような小さいものであることに魅力を感じていた。作中でデンジの欲望は徐々に拡大していくことになるんだけど、それでも少年ジャンプの主人公が抱く巨大なものや、平均的な日本人の感覚と比較しても小さいものだった。

自分は物欲とかが小さいほうだと思うけど、平均的な幸福を望む気持ちはそれなりにあり、家庭とか余暇を楽しむ様子とかを見ると羨ましく思う。小さな幸福で満足していればそういったものも知らずのうちに手に入っていたのかなと毎日考える。

周囲の人は生活の本質的な部分を正確に捉えていたように思うし、肝心な部分で我慢し選択していたように見える。自分には彼らがとても禁欲的に思えて仕方が無かった。まるでパンにジャムを塗って全てを満足しているようだった。現状の不満とかに蓋をして生活をそれなりに楽しんで、穴に落ちないように気を付けている。

様々な誘惑が在るなかで、全部に蓋をして耐える。生きているだけで満足とでも言うかのような禁欲的で我慢強い精神が羨ましかった。まるでそうすることで必要なものが得られることを分かっているようだった。

だから欲望のレベルがとても俗っぽくて低いデンジに興味を持ったし、これからどうなっていくのか気になった。普通がいいなあって言って一生足りないものを追いかけるんじゃなくて、朝飯食えるからおれは普通だ普通サイコー!って思えたら幸せじゃないですか。

そんな辛気臭いことを抜きにして、チェンソーマンてあんまり登場人物がキャラクター然としてなくてドラマチックなところが好きだし逆にバトルはオマケのような存在に見える。

その逆で登場人物に愛着が全然湧かなくてドラマチックな描写で全然そういう気分にならないけどお話とバトルが異様に面白い漫画がハンターハンターで、本当に異様な漫画だと思う。繰り返し読んでも何故か面白くて一時期ずっと読んでいた。単行本が出たら4時間くらいかけて読んでるし今回もそうなると思う。